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Japan Association of Dental Traumatology

抄録集

大会長講演

外傷歯の処置後における偶発症への対応 
吉田忠司(九州歯科大学口腔再建リハビリテーション学分野)(大阪府堺市堺区開業) 
抄録

 外傷歯の治療においては、初期の対応が予後を大きく左右する。
 外傷歯において、乳歯では、動揺、挺出、陥入、脱臼などが多く見られ、永久歯では歯冠破折、脱臼が多く見られる。年齢は、1~2歳及び、7~8歳がピークである。また歯に加わる機械的衝撃については、受け止める側は、骨と歯根膜である。エネルギーは、質量と速度により決定され、衝撃が一部に限局すると破折、外力が分散すると、脱臼や歯槽骨骨折を伴う。
 外傷歯治療はガイドライン(日本外傷歯学会 外傷歯治療のガイドライン参照)に基づき、科学的に行わなければならない。ただ、日常の臨床においてはガイドラインには存在しない結果を経験することもたびたびあり、それらを考慮した上で、臨床的な判断をしていかなければならないのも事実である。
 ガイドラインに存在しない結果を見る事により、IBM『IBM:演者の造語で、Image Based Medicine の頭文字をとったもの』に基づいた経験的治療が必要なことがわかる。今後も、外傷歯治療において、安易な抜歯、抜髄をさけ、患者のQOLを上げるように、口腔外科医、小児歯科医が協力していかなければならないと考える。
 外傷歯の初期診断において特に重要なのは、
1 外傷歯の的確な診断と処置を行う事の、必要性を理解する事。
2 通常6ヶ月間、重篤な症例では数年にわたる経過観察と処置が必要な事を理解する事。と考えます。処置を行 うのは、歯科医師でありますが、初期対応は学校であり、保健の先生でもあります。その為には、小児歯科学 会専門医、外傷歯学会認定医等の専門医資格をもった歯科医師と学校との連携は重要です。大丈夫だと思って、 放置して重篤な状態になった事例が非常に多くみられます。今回は、症例を通して、初期対応の必要性、重要 性をお話すると同時に、日本外傷歯学会会員各位におきましては、学校との連携を強めるように啓蒙活動をし ていただければと考えております。

 より専門的な知識を習得したい歯科医師の方は、「日本外傷歯学会」の認定医を取得することを、また、専門的に処置を受けたい患者様は、「日本外傷歯学会認定医」の診察を受ける事をお勧めします。

略歴

1993年3月 大阪歯科大学卒業
1993年4月 (医)聖十字日野歯科勤務
1999年2月 吉田歯科医院開設
2006年2月  大阪労災病院 歯科口腔外科研修研究医
2006年10月 ICOI(国際口腔インプラント専門医学会)認定医(JP310744)
2007年9月 日本外傷歯学会理事 
2008年5月  厚生労働省認定臨床研修指導歯科医師 第10−32号
2008年7月 日本外傷歯学会認定医 第89号
2013年3月  日本口腔インプラント学会専門医(第909号)
2016年3月 九州歯科大学博士(歯学)取得
2016年11月 日本外傷歯学会指導医 第92号
2017年4月 近未来オステオインプラント学会専門医(第118号)

 

教育講演

顎骨欠損に対する治療と評価のupdate 明石昌也
抄録

腫瘍や感染、外傷等の様々な病因による顎骨欠損に対するdental rehabilitationまで含めた治療は、歯科口腔外科医にとってブラッシュアップし続けねばならない課題である。近年、顎骨切除を要する症例では、腫瘍以外にも頭頸部癌に対する放射線治療や骨粗鬆症や乳癌・前立腺癌等に対する骨吸収抑制薬に起因する顎骨壊死が増加傾向にある。生命に関わる悪性腫瘍の治療と異なり、あくまでQOL向上を主たる目的とする顎骨壊死の手術は、診断や手術の決定・治療目標の設定等で腫瘍とは違った難しさがあると考える。根治的には顎骨の広範切除が必要となる症例もあり、切除後の顎欠損に対しては自家骨の移植が望ましく、さらにはインプラント補綴まで行うのが理想的である。これまで神戸大学口腔外科では、関連各科と協力しながら顎骨欠損患者に対するより良い治療と、治療結果を適正に評価するための技術開発に取り組んできた。
本講演では
① 顎骨欠損の病因のupdate:MRONJとORNに関する最近の知見
② 顎骨欠損に対する治療:骨移植からインプラント補綴までの実際
③ 顎骨欠損治療後の評価方法に関する研究の紹介:4DCTを用いた顎運動の動態評価
の流れで当科での取り組みを概略したい。

略歴

2004年 東京医科歯科大学歯学部卒業
     神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科入局
2005年 神鋼加古川病院歯科口腔外科研修医
2010年 神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科医員
2011年 神戸大学医学部附属病院形成外科医員
2014年 神戸大学医学部附属病院歯科口腔外科助教
2018年 神戸大学大学院医学系研究科外科系講座口腔外科学分野講師
     Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Hannover Medical School, Germany
2019年 神戸大学大学院医学系研究科外科系講座口腔外科学分野教授